和良石=龍の住む山(1)

和良石=龍の住む山(1)

和良石=龍の住む山(1)

岐阜市内から国道156号線を北上し、美並を過ぎて郡上市街地に入る前に脇道の比較的きれいに舗装された山道へと逸れる。曲りくねった急な上り坂を10分程走り抜けると国道256号線へと合流する。そこを右折して飛騨金山方面へとハンドルを向けると、あとは和良まで一本道だ。脇に逸れることなく、ひたすらに左右に曲がりくねった道、アップダウンを繰り返す国道を30分程走れば、目的地の和良村に到着する。
早朝から出発して車載の時計を見ると午前7:40を指していた。夜中過ぎまで降り続いた雨も上がり、降りて来ていた雲も日照とともに遥かな青空へ戻り始めていた。
ここは標高が300m以上ある所為か、さながら「天空の城ラピュタ」を思い起こされる景色を横目に朝靄の中を急いでいた。勿論、安全のためにライトは点けている。
さて、今日訪れる和良石の山だが、運営しているのは有限会社龍興山という会社だ。代表の林社長とは十数年来のお付き合いをさせてもらい、最近はめっぽう減ったが、プライベートで柳ケ瀬へ一緒に飲みに連れて行ってもらったりもするほどのお付き合いでもある。その龍興山というネーミングだが、思い起こせば、中部圏で“龍”にまつわる神話やネーミングが多いのではないかと考える。地元岐阜市内からほど近い隣町の各務原市にある苧ヶ瀬池には龍神が祭られ、「龍が住み、竜宮城への入口がある」と言う神話がある。つい最近NHK大河ドラマ「麒麟がくる」でも麒麟=龍と同一視することもできる。中日ドラゴンズという在名球団もある。
今走ってきた国道156号線も「昇竜道」の一部だ。何故、四神の中で東門を守る青龍がこの地に多く出没するのであろうか?と仕事とは全く関係のないことを思い巡らせながら、スピードを緩めることもなく山を目指していた。「林社長に訊いてみよう」そう結論に達した頃、和良村に入り、国道から県道に入る曲がり角を曲がった。